くまちゃん

このくまちゃんは、もはや日本では珍しい中材に藁（ワラ）を使ったぬいぐるみです。ご依頼主様の話では、70年前のものだそうです。

昔はぬいぐるみに藁を詰める職人さんがいらっしゃったそうです。工房の遠藤は職人さんが詰めるところを見たことがあるそうです。

クマちゃんの治療は、とても難しいものでした。藁を詰め直すことは出来ませんので、中材をそのままに、側地を修理していくことになりました。側地の穴は土台から作り直しました。耳、鼻、足先は別布で作り直し、側地に縫い付けます。中材の入っている側地を縫うというのは物理的にも不可能に近くとても苦労しましたが、何とか治すことが出来ました。

（治療前のくまちゃん）

（治療前のくまちゃん全身像）

治療が終わり、くまちゃんは帰って行きましたが、ご依頼主様からは「珠美先生の愛情と素晴らしい技術のおかげで70年前のくまちゃんが生き返りました。感無量です。ずっと大切にいたします。本当に本当に、ありがとうございました。」というメールをいただきました。当時を知っていらっしゃるお母様とおば様にも自慢してくださっているそうです。

皆様に喜んでいただけて、苦労はしましたが、治療をして本当に良かったと思いました。

（治療後のくまちゃん）

（自宅で寛ぐくまちゃん；ご依頼主様からのメールより）

（自宅で寛ぐくまちゃん；ご依頼主様からのメールより）