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 病院のホームページを見てメールを下さったのは東京都中野区のK・Hさん。

 「縫い付けてある洋服がぼろぼろになってしまっているので、その洋服を交換していただきたい。洋服の生地は今現在のものと同じ物でなくてもOKです。また洋服とおそろいの帽子も交換したいです。顔や手足は汚いですが、それは現状きれいになればいいですが、顔の雰囲気が変るようであれば、そのままにしたいと考えております。

 修理が可能なことを連絡、洋服が同じ物があるかどうか、現物を見て生地を探してみることにした。さっそく22日にワンちゃんが送られてきた。現物を見ると、傷みは相当ひどい。修理方法の2案をメールした。1つは体の部分を解いて、洋服の生地を取り替え現状と同じにする。もう1つは、現状のままで新しい洋服を上から着せる。中には入っているペレット(プラスチックでできたツブツブ状のもの)を大部分出てしまっている様なので補充する。

 13年前に1個、主人が買ってきてくれた。「なんのことはない、可愛いかったから」と。あんまり可愛いのでもう1コ買ってきてくれたそうだ。寝起きを共にして13年、犬はぼろぼろになってしまった。生地は擦り切れ、しょうねがない。洋服は何度も針を入れ、繕ったあとがある。

 こんな添え書きがあった。「とても大切なものなので、お預けする期間をなるべく短くしたいと思っています」。つまり、離れ離れになるのが辛い、と。洋服が擦り切れ、おなかのわたが出てしまっても、それでもいとおしい。思い入れが伝わってくる。

 顔の表情は変えない、洋服と帽子を作り変えることになった。ペレットは穴から飛び出し、だいぶ無くなっていた。お座り姿のこの犬は、お腹から腰にかけ、綿の代わりにペレットを入れ、くたっとした感じで座りをよくしている。

  修理が済み、急ぎ送った。「洋服生地で悩みました。本体を少しでもきれいに見えるようにと思ったのですが。柄は可愛いのを選びましたが、いかがでしょうか」

 オリジナルの柄、雰囲気に近いものに仕上げなければならない。元のイメージを壊さない柄といっても、体の生地そのものが汚れでグレー色を濃くしている。洋服の柄も、同じ物を選んだとしてもイメージは違ってくる。お礼のメールが入った。

 「昨日、無事ぬいぐるみが届きました。とっても丁寧に直していただきありがとうございました。この子たちは13、4年前に主人からのプレゼントでもらったとたん、大変気に入ってしまいました。もともとは800円くらいでスーパーのニチイで買ったそうで、数ある中から顔立ちのいいのを選ぶのに相当時間がかかったみたいです。私は人形よりはぬいぐるみが好きなのですが、この子たちは家族の一員のような存在です。ぼろぼろになってからは心を痛めていましたが、おかげさまでとってもきれいに生まれ変わって、夢のようです。病院に入院中は、主人が以前にデジカメであの子たちを撮ったものをスライドショーにして見せていてくれました」

 ワンちゃんには名前があった。動物柄の「あつこ」ちゃんと「さくらこ」ちゃん。

  退院前の暖かい日、ひらひらと花びら舞う山桜の下で写真に収まった、さくらこちゃんとあつこちゃんは、とても可愛い表情だった。

治療前


治療後